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南米摂理ってなぜ重要?

Updated: May 24, 2022

南北米統一摂理が世界平和と統一への始まり

真のお父様が御聖和された後でも、世界はまだLGBT人権運動などに代表される性道徳の崩壊、暴力と紛争、唯物思想と共産主義まで残っている状況です。このような状況で、どのように真のお父様は世界平和と統一世界を成すご計画をされておられたのでしょうか。

この記事は、「海洋摂理と世界平和と統一への道しるべ」という二部構成の講義の第二部であり、み言葉を通して真のお父様が世界平和と統一をどのような計画で成されようとされたかを海洋摂理の観点で調べた内容をまとめています。

Ocean Hobby Seminar Team

 

紹介:南米と世界平和と統一

南アメリカはなぜ重要なのでしょうか? 先進国に住む人々にとって、南アメリカは麻薬と汚職に満ちた発展途上の国々のように感じるかもしれません。 しかし、なぜ真の御父母様は南米の奥地のジャングルで七年間暮らされ、釣りをされたのでしょうか。

多くの祝福家庭たちは、第二次四十年路程が南米サンパウロ宣言で1995年に出発したこと、そしてジャルジンで修練を受けたこと、真のお父様が1995年から2001年ごろまでパンタナールに住まれ、奥地で釣りをされておられたことを覚えていると思います。

真の父母経十篇三章や他の南米に関するみ言葉を読んでみると、南米摂理には(1)理想村と神の国の建設、(2)キリスト教文化圏の統一、(3)祝福家庭の教育、(4)アマゾンとパンタナールの自然保護、(5)サタンの自然屈服などの摂理があることがわかります。

(写真:パラグアイ奥地の小村フエルト・オリンポで駐在する警官に車でエスコートされる真の御父母様)

この記事では、南米摂理を「南北米統一」(真の父母経十篇三章四節)の観点から分析していきます。関連するみ言葉を読んでみれば、南北米統一の最終ゴールが世界平和と統一であることが理解できます。

また「南北米統一の方法」という点でみ言葉を読んでみるとき、交差結婚や思想教育なども方法として話されますが、より実質的で具体的な方法は「平準化」であったと知ることが出来ます。平準化という表現は、真の父母経では多く語られています。(均等、平準化などの表現は三十回以上、十篇に出てきます。)「犠牲」という言葉は、私たちはあまり聞きたくない言葉ですが、「平準化」という言葉も、先進国の方々にすれば、簡単に実施できることではないと思います。しかし、み言葉によると、貧困や飢餓を解決するという平準化は世界平和と統一に必須であり、前提であることが明らかです。

人類は飢餓問題を解決しなければ、この世界に本当の平和はありません。すぐ横にいる人が空腹で死んでいくのに、それをそのままにして平和を語るのはあり得ないことです。(自叙伝 七章)

平準化が必要なのは、世界に多くの悲惨な格差が存在し、その格差がある限り世界平和と統一を確立することができないからです。飢餓問題は、人類社会においての最大の格差問題です。飢餓問題を解決しようとする海洋摂理は、平準化の摂理であるという事ができます。

この記事は真のお父様のみ言葉と行動を辿り、以下の内容を説明します。

  1. 南北米統一が世界平和と統一の始点であること

  2. 世界平和と統一の主要方法が平準化であること

  3. 理想村の摂理、国際平和高速道路、海洋摂理は平準化の摂理だったこと

  4. 真のお父様自ら、平準化の方法を実践し見せてくださったこと

[南米摂理をより深く理解するためには、南米摂理を始めるために真のお父様が北米で1974から1994年まで20年構築された海洋摂理も勉強されることを推奨します。海洋摂理の重要性を理解するためには「海洋訓練ってなぜ重要?」という記事をまず読まれることを推奨します。]

世界統一の始点

まず、「南北米統一」の目標はだったのでしょうか。以下の言葉から、南北米を統一する摂理は世界統一の摂理の一部であると言えます。

南北米さえ一つになれば、ヨーロッパは自動的に統一され、ローマの失敗とユダヤ教の失敗と、ヤコブ家庭における失敗まで復帰するのです。十支派と二支派に 分かれて闘った、そのような分立された歴史から、エデンに帰ってアダムとエバ、体と心が分かれたその縁まですべてはんだ付けして埋めるのです。ここから世界的家庭まで、堕落圏内のすべてが含まれます。世界レベル、ヨーロッパレべル、ローマレべル、ユダヤ教レべル、アダム家庭レベル、これが二つに分かれまし た。すべてがカイン・アベルに分かれてきたのです
それが反対に、一つになるというのです。統一がここから始まります。総蕩減しなければなりません。今や摂理史的な全体をすべて蕩減したので、全体大勝利です。八段階勝利、全体勝利という標語になります。南北米が一つになれば、キリスト教文化圏を中心として、ヨーロッパにおける旧教と新教の争いが終わり、統一されるのです。(真の父母経 十篇三章四節)
お父様がキリスト教以上のアベル教団をつくったので、アメリカはこの統一教会に従わざるを得なくなるでしょう。カイン・アベルが一つになるというのです。 カイン・アベルが一つになるので、アメリカがプラスになります。南米はカトリックですが、兄なのでカインになります。これを一つにすれば、世界が統一されるのです。(真の父母経 十篇三章四節)
世界的代表国家型であるアメリカがアベルの立場に立ち、南米はカインの立場になるのですが、これを一つにしなければなりません。そのようにしてこそ、統一天下が訪れるのです。逆に、世界圏内にあるヨーロッパを代表し、国家を代表し、氏族を代表するアベル圏とカイン圏に分かれたものが一つになることができ、体と心が統一されるモデルになります。逆さまにもってきて、すべて合わせることができます。ですから、アメリカを引き入れて、南米を協助できる基盤を築いたというのです。(真の父母経 十篇三章四節)

上記の南米と北米の統一に関してのみ言葉によると、以下のことが明記されています。

  • 南北米統一の目的は世界統一

  • 南北米統一は世界の「統一の始まり」

  • 南北米統一はキリスト教文化圏の統一

このように、南北米統一の目的が世界統一だったと理解はできるのですが、真のお父様は具体的には何をされようとしておられたのでしょうか。世界統一までの道のりをどのように細分化されておられたのでしょうか。

「南北米統一」から「世界統一」までの道しるべ

1994年5月1日、世界基督教統一神霊協会の創設四十周年において、「世界平和統一家庭連合」が創設され、翌年の1995年には、第二次四十年路程が南米で出発しました。その転換期である1994、1995年に、真のお父様は「世界平和と統一」がどのように成されるのかを話されておられました。

今や南北米さえ父母様を通して一つになれば、韓半島の南北統一はもちろん、イスラエルとイスラム圏、ヨーロッパまで、統一することは問題ありません。一度にすべて成就するのです
文化的基準でキリスト教文化圏になっていて、現代社会を動かすことのできる主導的な役割を、アメリカが中心となって担っています。南米は今まで、そのようなアメリカに反対してきました。これが一つにさえなれば、強大な勢力になります。そのようになれば、ヨーロッパも自然にキリスト教文化圏、南北米もキリスト教文化圏、その次に、アジアもキリスト教文化圏になるのです。ですから、お父様は南北米のキリスト教文化圏を一つにして、アジアまで連結しなければなりません。アジアと南北米さえ一つにすればよいのです。そのようにしなければ、生きる道がありません。(真の父母経 十篇三章四節)

上記のみ言葉に書かれている「統一の始まり」である南北米統一から最終目的である「世界の統一」までの道のりを書き出すと以下のようになります。

  1. 南北米統一とキリスト教文化圏統一

  2. ヨーロッパのキリスト教文化圏統一

  3. ユダヤ教、イスラム教の統一(中東の紛争の終結)

  4. アジアまでキリスト教文化圏が拡張(中共の終わり)

  5. 韓半島統一

以上の内容を見れば、南北米統一の意義が壮大であるということが分かります。世界統一までの上の五つの「道しるべ」を考えると、順序が非常に論理的であるという事が理解できます。まず南北米が統一すれば、キリスト教圏であるプロテスタント圏とカトリック圏が統一されます。ヨーロッパはキリスト教圏であるので、ここが次に統一されます。(み言葉にははっきりと明記されていませんが、ヨーロッパとアフリカが統一されることになると考えれます。)次に、ユダヤ教圏とイスラム教圏である中東が統一されます。そして、アジアがキリスト教文化圏に統合されます。中共がキリスト教圏となれば、北朝鮮の主権は持続は困難になり、韓半島統一が実現となります。

問題は、このような壮大な偉業を成すための方法です。どうやって統一するのでしょうか。思想教育や宣教によってでしょうか。これらのことは常に必要であると思われますが、より具体的な統一の方法はなんだったのでしょうか。真のお父様は、人間には心と体があるように、内外両方の解決なくしては、統一することはできないと言われておられました。

人は心と体が一つになった被造物です。物理的な疎通と共に情緒的な疎通が一緒になされてこそ、完全な統一が達成されます。(自叙伝 七章)

「完全な統一」とは、情緒的で物理的な疎通がなくては達成できません。真の御父母様から受け継いだ縦的内的勝利圏を、横的に私たちが広げなくてはいけませんが、これは通常の宗教活動だけではできず、み言葉の具現化がなくてはできないのではないでしょうか。

統一の方法は真のキリスト教の実践

キリスト教圏の統一は、カインであるカトリックが主流である南米と、アベルであるプロテスタントが主流である北米が、統一することですが、どのように統一するのでしょうか?キリスト教文化圏のアベルである米国が最大の祝福を受け、カイン圏である南米と比べはるかに豊かになりました。南北米では、文化の違い、言語の違い、経済的格差も大きいのですが、米国の自国主義的で帝国主義的な外交姿勢では、誰も統一するどころか、未来永劫に国家間の格差とテロと紛争が持続するのではないでしょうか。

アベルの統一方法は、常に同じで、サタンの自然屈服を促す、「ために生きる」ことです。つまり、「隣人のために生きよ」という真のキリスト教の実践です。キリスト教圏の矛盾を正し、真のキリスト教精神を実践することのみが、キリスト教文化圏を統一し、他の宗教も納得させ、中共も納得させ、すべてを統一する方法です。

(写真:真のお父様は1999年5月14日に自然屈服したサタンと神様の歴史的会合を南米ナビレケのアメリカーナ・ホテルで行われました。殺そうとするサタンを、決して打つことはせず、自然屈服までされました。)

キリスト教社会の矛盾とは、キリスト教徒だと名乗りながら、イエス・キリストに従わなかったことです。イエス・キリストは「隣人を愛せよ」と言われたのですが、世界の頂上に位置する先進国であるアメリカは、隣国である中南米を十分に助けることはせず、国境を越えた格差は激しい状態を続けました。これが国際的なレベルでのキリスト教文化圏の矛盾です。再臨の主のために準備されたキリスト教文化圏のアベルとして祝福を受け、富を築いた北米は、隣国である中南米を愛さなくては、キリスト教文化圏の矛盾が持続します。

矛盾を持ちながら世界統一を望めば、誰も、アジア(ロシア、中共)も納得しません。キリスト教圏に入るはずもなく、統一を受け入れません。このような内容を、真のお父様は1995年に語られておられます。

南・北米はキリスト教文化圏です。旧教と新教は兄弟です。今、このままアメリカがアジアに来れば、兄弟を無視して太平洋を渡り、より遠い距離にある我が国にどろぼうしに来たと考えるのであって、手助けしに来たと考えることはできません。アメリカ人がアジアに来る時、アジアの人々はそのように考えるのです。「兄弟たちが一つになれずに闘って、すべて捨ててきた者たちが、私たちの所に訪ねてきて手助けするとはどういうことか」と、このように考えます。どろぼうをしに来たと思うのです。
神様が御覧になる時も「アメリカ人、この精神が腐った者たち」と言われるのです。太平洋を渡ってアジアに行っても、怨讐の芽が生えているというのです。日本は経済的な大国であり、中国は人口の大国です。ソ連は思想の大国なのですが、それを満たすためにそれ以上のものを求めているのに、アメリカがそこに行って何を手助けするつもりですか。ですから、どろぼうをしに来ると思うのです。(環太平洋摂理 四章一節)

真のキリスト教文化圏、真の地上天国を造成するのは平準化

真のお父様は、南北米統一をどのような方法で行おうとされていたのでしょうか。南北米の交差結婚を一つの方法としておられました。そして、組織として、「中南米統合機構(AULA)」と「南北米統一連合(CAUSA)」を創設され、中南米の指導者を思想教育することもされました。

しかし、具体的な統一の方法として、真のお父様は「北米が南米を助ける」という平準化運動を唱えられました。「隣人を愛せよ」「持ち物を売って貧民に分け与えなさい」とイエス・キリストは言われましたが、そのみ言葉の実践である平準化こそが、キリスト教圏を統一させる方法です。

平準化とは、高いところ(北米)から低いところ(中南米)を求めて自然に流れる水のようなものです。真のお父様は南北米の平準化のことを幾度も語っておられました。

北米がアベルの立場に立って、カインの立場にいる南米を救わなければなりません。そのためには、すべてを投入しなければなりません。アメリカの人々がお父様の精神を受け継ぎ、自分の生命と財産を南米のために投入すれば、南米を救うことは問題ありません。高気圧があれば、自然に低気圧に向かっていって埋めてあげるのと同じように、高い段階にいるアメリカが南米を救わなければなりません。
アメリカ人は南米に行って訓練し、南米の人はアメリカに行って訓練しなければなりません。二ヵ国語を話せるようにして、これから一つにするのです。(真の父母経 十篇三章四節)
サンパウロ宣言とともに、南米前線に大移動するのです。ですから、「アメリカを離れると発表しなさい」と話しました。父母様はアメリカを離れ、南米に移動するというのです。ですから、すべての制度と機関を縮小するのです。アメリカに投入していたすべての経済力と人材を南米に投入します。今や、理想的な国をつくらなければなりません。理想的な家、理想的な村、理想的な都市、理想的な国家をつくらなければならないというのです。(真の父母経 十篇三章二節)
技術を平準化することが、先進国にとってどれほど恐ろしい作戦か分かりません。アメリカのような国は、技術の平準化をするようになれば、持っている技術を南米にすべて引き渡さなければなりません。(真の父母経 十篇一章五節)
今までヨーロッパはアフリカを搾取し、万年にわたって僕の立場に立てるための政策を展開し、またアメリカも、南米を隸属化するための政策を用いてきました。これを私が打破してしまおうとしているのです。(真の父母経 十篇一章一節)
東西の文化の格差と南北の貧富の格差は、今世紀に必ず解決すべき課題です。それを、何によって解決するのでしょうか。お父様が教える「ために生きる主義」によってです。「自分のために生きよ」という主義は堕落した世界のものであり、「他のために生きよ」という主義は、天の国のものです。ですから、北にいる裕福な人は、南にいる弟、妹のために生きなければなりません。弟、妹のために自分の財産を売り払い、彼らが豊かに暮らせるようにしてあげなければならないというのです。自分の弟、妹を自分以上に豊かに暮らせるようにしてあげてから、自分の息子、娘にまた投入しなければなりません。そのような場に、永遠の理想が宿ることができるのです。(真の父母経 十篇一章二節)
アメリカ人たちは、「私たちには貧しい南米は必要ない」と言うかもしれませんが、南米のためにすべてを投入しなければなりません。統一教会の人々は、そのようにしなければならないのです。その長子圏を代表した南米と一つにならなければ、真の家庭と連結される道がありません。皆さんが真の家庭と連結されなければ、真の地上天国の道はないのです。(真の父母経 十篇三章四節)

私たちは宗教人であるからこそ、自分の救いを求めるよりも、世界の救いを求めなくてはいけません。そして、真の御父母様の内的縦的な勝利を、具現化、実体化する拡大作業を行わなければなりません。それは世界の平準化という作業です。それが「真の地上天国への道」です。

イエス・キリストと同じように、真のお父様は幾度も平準化の必要性を私たちに促されました。原理講論に書かれているように、唯物思想(無神論)と共産主義思想の根源は、キリスト教社会の矛盾が社会格差として現れたことと関係があります。

初代教会の愛が消え、資本主義の財欲の嵐が、全ヨーロッパのキリスト教社会を吹き荒らし、飢餓に苦しむ数多くの庶民たちが貧民窟から泣き叫ぶとき、彼らに対する救いの喊声(かんせい)は、天からではなく地から聞こえてきたのであった。これがすなわち共産主義である。神の愛を叫びつつ出発したキリスト教が、その叫び声のみを残して初代教会の残骸と化してしまったとき、このように無慈悲な世界に神のいるはずがあろうかと、反旗を翻す者たちが現れたとしても無理からぬことである。このようにして現れたのが唯物思想であった。かくしてキリスト教社会は唯物思想の温床となったのである。共産主義はこの温床から良い肥料を吸収しながら、すくすくと成長していった。(原理講論 総序)

もし真のキリスト教精神(真の宗教)を持ち世界の平準化を実践する団体、あるいは国が現れるならば、神の存在を行動をもって証明し、無神論と共産主義を根本から除去することができるはずです。ユダヤ教圏も、イエス・キリストと再臨主を認めるでしょう。イスラム教圏も同じで、中東の紛争は終わります。平準化を唱え同志を募る共産主義者たち、中国共産党も北韓の主体主義者たちも存在目的を失います。このように韓半島統一まで、「一度にすべて成就する」という世界統一の流れが可能であることが見えてきます。

今や南北米さえ父母様を通して一つになれば、韓半島の南北統一はもちろん、イスラエルとイスラム圏、ヨーロッパまで、統一することは問題ありません。一度にすべて成就するのです。(真の父母経 十篇三章四節 266-134, 1994/12/22 )

平準化の「根本的な方案」

真のお父様は、平準化の方法についてどのように語られておられるでしょうか。

自叙伝七章の「貧困と飢餓を賢く解決する方法」という部分で、供給と技術教育という「二つの根本的な方案」を語られておられます。

単純に食べ物を分け与えるだけでは飢えを解決することはできません。より根本的な視角から接近しなければなりません。私は二つの根本的な方案を考えています。一つは、安い費用で食べ物を十分に供給することであり、もう一つは、貧困に打ち勝つ技術力を供給することです。(自叙伝 七章)

上記のみ言葉では、真のお父様は以下の二つの平準化の方案を計画されておられました。

平準化の方案その1:安い費用で食べ物を十分に供給

平準化の方案その2:貧困に打ち勝つ技術力を供給

真のお父様の路程をみ言葉で辿り、この二つの方案がどのようなものだったかを考えてみたいと思います。

平準化の方案(1)「安い費用で食べ物を十分に供給すること」

第一の方案である、「安い費用で食べ物を十分に供給する」ためには、まず十分な食べ物を確保し、その次に安い費用で運搬・分配を考えなくてはいけません。これに関連するみ言葉は多々あり、まとめてみると以下の具体案に省略することができます。

  1. 海洋資源を確保する

  2. 水上運輸産業を開発し、世界に資源を分配する

  3. 趣味観光産業を開発し、河川で資源を分配し、国々を繋ぎ、資金を集める

  4. 国際平和高速道路(ピース・ロード)を建設し、資源を分配する

まず、海洋資源の確保について、以下のみ言葉を語っておられます。

食糧問題は、今後人類に非常に深刻な危機をもたらすでしょう。なぜならば、限りある陸地で生産されるものだけでは、地球上の人類をすべて食べさせることはできないからです。ですから、海にその解決策を見出さなければなりません。海は未来の食糧問題を解決できる鍵です。(自叙伝 七章)
今後、世界の大洋の資源を産業的に開発する必要があります。私は、大型漁船の製造から漁場の建設に至るまで、漁業のあらゆる方面で様々な事業体をつくってきました。未来の海は、世界の数多くの民族に食糧を供給することでしょう。ゆえに、海の開拓こそ世界人類の飢餓を終息させる望ましい方法となるはずです。(環太平洋摂理 一章一節)

海洋資源のみ言葉は多く、養殖業やクリル漁業やフィッシュパウダーなどだけではなく、地下資源の発掘まで真のお父様のご計画に入っていました。

また、資源の供給方法も計画されておられました。真のお父様は、先進国では食糧が捨てられているのを見て、大きな問題は配分にあると考えられ、運輸産業の確立、趣味観光産業、国際平和高速道路の構想などで世界各国に海洋資源の均等な配分を可能にし、物理的平準化を考えておられました。

(写真:1994年8月1日、米国NY州のベルべディアにて、米国海洋摂理20周年記行事において、片方の手に原理講論の本を、もう片方の手に釣竿を持つお父様の姿の記念碑を贈呈された真の御父母様。)

1994年8月1日の米国海洋摂理20周年記念式典では、真のお父様は運輸産業と観光産業を同時に行っていく事で、経済基盤を築きながら、食糧の分配を可能にする構想を語られています。

先生がこれほど海洋産業に力を注いでいる目的は何かというと、将来この海洋産業の運送技術を使って、どんな国にも、どんな未開拓な土地にも入っていけるようにするためです。アフリカ地域の貧困に苦しむ人々を救うために、海峡や河をさかのぼって奥地まで入り込んでいける道を開拓するのです。アフリカで飢餓に瀕している人達は、食糧がないといって死んでいきますが、食糧は、世界中の国であちこちに有り余っているのです。
アフリカの奥地では道路などの交通手段が発達していません。未開発の土地では人間が常に水を追い求めながら、水際や河口に住み着いているのです。そこで私たちが小型ボートをうまく利用して、水路が浅くなっている奥地まで入っていくようにするのです。
将来、私たちがすべきことは、小型船を利用して釣りをしたり、商品を運搬したりする観光事業を興すことです。観光事業を振興させて土地を観光旅行させながら、帰路には必ず倉庫に立ち寄って、自分の部落で一年の3分の1ほど、食べて行ける食糧を持ってくるのです。観光産業を発展させるにも、こういう小型船の製造技術を使って、いずれは全世界の主な港町に小型船を配置して、数万人の客を相手に観光案内したり、釣りをさせたりするようになれば良いのです。

(写真:真のお父様が設計を主導し米国NJ州で製造されたキャビン付きボートが南米に1997年ごろに送られ、パンタナール湿地帯の奥地に設置された。)

世界の先進国家の倉庫に眠っている食糧を分配して、飢え死にしていく人々を救うためにやるのです。海洋産業、運輸産業をこのように小型船を中心に振興させて、観光事業を興せば、いくらでも物資は回るようになるし、有効活用できるようになるのです。こうして先進国と開発途上国が相互に交易していく道を開くのです。世界的なスケールで観光事業を興すのです。
観光旅行させながら村々を回り、物資を移動させながら分配するのです。そうすればどういう展開になっていくかというと、部落に入って物資の配給活動を行っているうちに、地元の家庭と交流ができ、繋がっていくようになるのです。(1994年8月1日 NYにて)

上記のみ言葉のように、真のお父様は釣りなどの趣味観光旅行と物資の配分を同時に行うと言う、恐るべき画期的な方法を考えておられました。この方法だと、貧民たちに物資を分配しながら、観光事業という経済基盤を作っていくことができます。その上に、先進国と発展途上国を繋げ、投資と地方発展を促し、地方の住民に仕事を与え、自然環境保護を教え、伝道にも繋がります。

このような趣味観光産業の意義をまとめると以下のようになります。

  1. 物資や食糧の配分

  2. 観光での経済基盤

  3. 先進国と開発途上国が相互に交易していく道を開く

  4. 地元の家庭との交流(伝道)

真のお父様は1994年に趣味観光産業のことを話されておられました。近年では、エコ観光を始めとする観光産業は国家レベルで企画されることが多くなりました。また、エコ観光やサスティナブル観光は、自然が地方で収入を生みながら自然保護の重要性を教えることができるため、自然保護団体の主要な戦略となっています。

さらに、世界レベルの物理的平準化の方法を真のお父様は考えておられました。「ベーリング海峡の橋」や「日韓トンネル」を含む「国際平和高速道路(ピース・ロード)の構想」も、海洋資源の確保とその資源を世界的にこの国際道路で世界で共有するという、具体的な物理的平準化の方法を唱えておられました。

未来において、私たちは海を主管しなければなりません。海にあるすべての金銀財宝を私の手で開発するつもりです。そのようなことを考えていると、トンネルをたくさん掘らなければならないという結論になったので、ハイウェイ・プロジェクトも出てきたのです。海の底に道を通し、そこに門を造っておけば、その門を開けて出ていって魚を獲ることもできるので、それはどれほど楽しいことでしょうか。海にある油も、船にパイプで直接供給すれば、それはどれほど素晴らしいことでしょうか。(環太平洋摂理 一章一節)
国際平和高速道路は、世界の地下資源と人的資源の不均衡を調整し、等しく豊かに暮らす富の平準化を成し遂げてくれます。平準化とは、高いものは少し低いところに引き下げ、低いものは少し高く引き上げ、互いの高低を合わせることです。そのためには、より多く持っている人、より多く知っている人の犠牲が必要です。平和世界の建設は、一過性の善意や寄付ではできません。絶えず自己を犠牲にし、自分が持っているものを惜しみなく与える真実の愛こそが平和世界をつくっていくことができるのです。
人は心と体が一つになった被造物です。物理的な疎通と共に情緒的な疎通が一緒になされてこそ、完全な統一が達成されます。(自叙伝 七章)

上記のみ言葉の通り、「完全な統一」や「平和世界」とは、格差があっては達成できません。真の御父母様から受け継いだ縦的内的勝利圏を、横的に私たちが広げなくてはいけませんが、これは宗教活動だけではできず、み言葉の具現化が無くてはできません。み言葉を読むと、その具体案が比較的に詳細に真のお父様は語られておられました。その具現化の第一方案・計画が海洋資源の主管、観光産業、海運産業、国際平和高速道路などでした。

真のお父様は1982年にトンネルを多く掘り、国際高速道路を世界平和のために建設することを語られておられたのですが、中国共産党はその三十年後の2013年に経済的帝国主義の下、70か国を繋ぐ「一帯一路」計画を宣言しました。また、三十五年後の2016年にはテスラの創始者であるイーロン・マスクは交通の未来は上空よりも地下にあると考え、Boring Companyと言うトンネル掘削事業を始めました。

真のお父様の先見の明は素晴らしいものがありました。

(写真:2005真6月30日に真のお父様が描かれた国際高速道路の構想図。日韓トンネルとベーリング海峡の橋も含まれている。海洋資源の分配を目的とするため、道路の位置はすべて海岸か海を通っている。)

平準化の方案(2)「貧困に打ち勝つ技術力を供給すること」

食糧問題に対抗する第二の方案である技術力の供給に関しては、真のお父様は南米の事をよく語られながら説明されておられます。

食糧を直接援助することと同じくらい大切なことは、食糧を自給できる技術を普及することです。技術力を普及するためには、後れた地域に学校を建てて、文字の読み書きができない人をなくすと同時に、技術学校を建ててそこで食べて生きていけるだけの実力を育てなければなりません。アフリカと南米大陸を征服した西洋人は、彼らに技術を教えませんでした。彼らの土地で資源を掘っていき、彼らを労働者としてのみ扱いました。彼らに農業のやり方も、工業のやり方も教えませんでした。それは正しくない事です。私たちは以前からコンゴ、ガイアナ、パラグアイ、ブラジルなどに学校を建てて、農業と工業技術を教えています。(自叙伝 七章)
ニューホープ農場はブラジルにありますが、ブラジル人だけのものではありません。空腹な人たちは、誰でもニューホープ農場に来て働き、食べることができます。全世界のあらゆる人種からなる二千人以上の人が来て、いつでも食べて休むことができる所です。小学校から大学までの教育機関も一緒に設立し、農業も教え、牛を育てる方法も教えます。木を植えて育てるやり方、魚を釣って加工し販売することまで教えます。農業だけするのではなく、川の周辺のたくさんの湖を利用して養殖場を造り、釣り場も造りました。(自叙伝 七章)
そして、その地域を中心として、百六十ヵ国と連結できる文化を展示する世界展示村を造ります。そうすれば、全世界の人々がこの大学を中心として観光ができる観光基地になるというのです。その次に、ここに留学施設を造っておけば、全世界の人々が移動してくることができます。理想世界がそこで展示されるのです。それで、そのための交渉をしようとしているのです。(真の父母経 十篇三章五節)
統一教会員たちは、発展途上国に対して、先導者としての責任を果たさなければなりません。そこに行って幼稚園の先生、小学校の先生、中学・高等学校の先生、大学の教授にならなければなりません。そうして、文化水準を上げながら、飢え死にする人を助けてあげなければならないのです。そのようにするためには、釣りをすることができなければなりません。そのような意味で、百六十ヵ国に船を四隻ずつすべて分け与え、その準備をしようとしたのですが、皆さんの頭が目覚めず、「それが何の役に立つのか」と考えているというのです。(真の父母経 十篇二章五節)

真のお父様は統一食口たちに発展途上国に行き、学校や観光基地を建設し、農業や漁業を教え貧困に喘ぐ人々を助けることを願われておられました。まず、南米に模範となる村を造成し、それを百六十ヵ国に連結し、世界的に展開しなくてはいけませんでした。これが、平準化の第二方案の「貧困に打ち勝つ技術力を供給すること」の具体的方法でした。

真のお父様は、パラグアイで日本国家メシアたちに模範となる理想村としてプエルト・レダを開拓させましたが、その理想村の機能が、食糧問題を解決する作業であることを語られておられます。

海洋還元をするためには、私たちが海洋事業に関心をもたなければなりません。それを準備するために、日本人たちを通して、レダを中心としたパンタナールに定着し、その活動を行うのです。アマゾン地域で最も重要なことが自然保護です。公害を防止しながら、食糧問題を解決できる事業を行うのです。(真の父母経 十篇三章五節)
陸地の資源は、これから五十年ももたないと考えています。ですから、問題が起きます。百年以内には尽きるというのです。それゆえ、海洋圏を私たちが開拓しなければなりません。それで、日本食口たちに、パラグアイ川流域に、レダ農場を中心とした模範農場や、模範水産事業の施設や、模範文化都市の形態を造る活動をさせているのです。(真の父母経 十篇三章五節)

ジャルジンの希望農場も、世界を一つにする活動と言われ、万国平等主義(共生共栄共義主義の世界化)の思想基盤を造られることを急がれていると言われました。

ジャルジンで世界を一つにする活動をするのは、万国平等主義の思想的基盤を急いで必要とするからです。超民族的な環境を必要とするので、ジャルジンで行うのです。ジャルジンというのは、本来、ガーデンです。ガーデンとは、エデンの園のことを意味します。昔、預言をする神父たちが、「ジャルジンに主が来る」と言ったというのです。ですから、多くの人が、この新しい希望農場がある所は、福を受ける場所だと預言したのです。ここは海抜九百メートルの所にあるので、熱帯地方の榖物と寒帯地方の植物が、どこにでも育つ良い地域です。稲でも何でも、簡単にできるというのです。(真の父母経 十篇三章一節)

また、世界の食糧問題の解決方法は南米にしかない、とまで言われました。

今後の世界で、最も深刻な問題は飢餓です。ですから、食糧を確保することが問題です。その解決方法は、南米にしかありません。アメリカにもないのです。(真の父母経 十篇二章四節)
南米に天国をつくろうというのです。この天国は、地上天国、天上天国のことであり、一緒に暮らせる同族、親族、民族よりもっと良いものです。家族が一緒につくろうというのです。それを嫌だと思う人はいません。お父様が、自分の国を助けてくれることを願っています。ですから、私が願うとおりにできる環境に追い込み、地上に天国をつくろうというのです。そこに、世界人類を養って生かすことができる土地が眠っています。これを解放しなければなりません。人類の食糧問題や難しい問題を解決しようというのです。(真の父母経 十篇三章四節)

以上のみ言葉によると、南米のプエルト・レダやジャルジンで真のお父様が求められた模範(モデル)産業・文化都市の具体的機能は以下のようにまとめることができます。

  • 食糧問題を解決する技術の教育

  • 模範農場と模範水産事業

  • 思想教育

  • 自然保護

  • 観光基地

  • 世界展示村

このように、真のお父様は南米に、世界の人たちが来て、貧困と飢餓の解決策を見出せる場所を統一家庭たちが造ることを願われていたことが理解できます。そして、湿地帯では農業も水産業もできるので、食糧問題を解決する技術を訓練する最適な場所だと見出されたために、「南米にしか食糧問題の解決策はない」と言われたのだろうと考えられます。

また、日本人国家メシアたち全てにこの理想村の開拓を命じられたのは、その理想村を世界に繋げ広げる願いがあったことが考えられます。

「技術力を供給して平準化を行う」と言う方法の中には、理想村の建設より直接的な方法もありました。真のお父様は1989年には、パンダ自動車への投資と設立を中心として、中国の産業化を助けようとされたり、1999年には平和自動車の設立を中心として北朝鮮の産業化を助けられました。

平準化の方案の実例を自ら立てられた真のお父様

1995年に、七十歳を超えられた真のお父様は自ら南米の貧しい人々を訪ねていかれ、平準化の方案を実施される実例を私たちに見せられました。以下は自叙伝七章で語られた内容です。

三ヵ月間、パラグアイ川に沿って歩き回り、そこの人たちと食べ、一緒に眠りました。皆が不可能だと言っていたことに、七十歳を超えた私が飛び込んだのです。彼らは誰も釣りをすることができませんでした。私が魚を釣り上げるのを見た彼らは、不思議に思ってそばに集まってきました。私は彼らに釣りの方法を教えてあげ、彼らは自分たちの言葉を教えてくれました。
パラグアイ川は海のように深くて広い川です。私は、パラグアイ川に船を出して魚を釣りました。やることがなく飢えていたチャコ地方の人たちは、魚を釣って、生計を維持できるようになるでしょう。
船に乗るのが怖い人たちは、冷凍工場で魚を貯蔵し、販売する仕事をしています。彼らは、これ以上飢えによって絶望したり、つらい思いをしたりすることがなくなるでしょう。
しかし、食べる問題が解決したからといって、すぐに平和が訪れてくるのではありません。飢えが解決した後には、平和と愛に関する教育が必要です。私はジャルジンやチャコのような地域に学校を建てています。
粘り強く説得した結果、今では学生が増えました。牧場がうまくできるようになれば、簡単な技術を利用して物を作る軽工業の工場も作ってあげられるし、学生たちは工場で働こうと、一生懸命に学校に通うようになるでしょう。
全世界の飢えて死んでいく人たちは私たち全員の責任です。ですから、私たちが出て行って彼らを救わなければなりません。明確な責任感を持って、彼らを食べさせ、助けなければなりません。裕福な人は少し低い所に下りていき、貧しい人は少し上げてあげ、すべての人が等しく豊かに暮らす世界をつくらなければならないのです。(自叙伝 七章)

真のお父様は、私たち統一食口たちがやらないことを、自らを投入して道を切り開いてくださいました。私たちに「先生が歩んで来た路程を見るべきです」と言われました。真のお父様の路程にすべての解決策があります。

(写真:南米の奥地、サロブラで釣りをされながら船の上で昼食を取られるお父様)

「理想村」の実現は「共生共栄共義主義」の実現

真のお父様は日本人たちに、南米のプエルト・レダに模範産業、模範社会、理想村を作りなさい、とご指示されました。

この理想村では、どのような経済体制が必要でしょうか。原理講論によれば、理想の経済体制は資本主義でも帝国主義でも共産主義でもなく、神を中心とした社会主義である、共生共栄共義主義だと知ることができます。

人間は、このような理想をもって創造されたので、その理想を復帰し得る摂理歴史の終末期に至り、民主主義的な自由を獲得し、人間の本性を探し求めていくならば、結局、だれもがこのような社会主義的な生活体制を要求せざるを得ないようになるのである。したがって、民意がこのようなものを要求するようになれば、民意による政治も、そのような方向に向かって進まざるを得ないようになるので、最後には、神を中心とする社会主義社会が現れなければならない。(原理講論 後編四章七節)
あたかも君主主義の政治的な独裁を防いで、その主権を、人民のものとして取り戻すところから、民主主義が生じたように、国家の財産が、ある特定の個人階級に独占される帝国主義的な経済体制を打破して、人民が、それを均等に享有するようになる経済体制を樹立するために、社会主義を経て、天の側からは、共生共栄共義主義を指向し、サタンの側からはそれに先立って共産主義を指向するのである。(原理講論 後編四章七節)

資本主義は世界で特に若者たちに人気を失ってきています。資本主義は個人の向上心と欲を刺激し生産性を上げ、人々の生活基準の向上と技術発展など、人類の発展に多大な貢献をしてきたのですが、利益の最大化を目的として過度な生産を行えば、環境破壊につながることは明らかであり、近代化の恩恵は平等に配分されるわけはなく、格差が広がる傾向が強くあることが問題視されています。2020年からのコロナウイルスのパンデミックでは、エッセンシャル・ワーカーと呼ばれる社会の基本機能を支える低収入の人口が特に犠牲となる上に、パンデミックの間にさらに経済的格差が広がったという事で、世界でさらに問題視されることになりました。格差の問題は、個人の資本を最大化することを目的とした資本主義には解決策はありません。

では、社会主義は格差を解決することができるのでしょうか。ソ連、毛沢東の中国、北朝鮮などの共産主義社会は実質的に失敗だったと大部分の人は認めていますが、社会主義そのものを失敗とみなす人も少なくありません。実際に近代に実施されてきた形状の社会主義の導入は、政府支出の不適切な管理、肥大化した政府介入、および過度の福祉によって特徴づけられます。能力主義に反し、市民に過度の福祉を施すことにより生産性に対する動機を削ぐことが、社会主義に対する主要の批判の的の一つとなっています。

これまで実施されてきた形状の社会主義は、格差を無くすために政府が生産と富の配分に介入し、平準化を行う形態でした。それはなぜかと言うと、政府が関わらないと、人間は自然に自己中心のために他を犠牲にして自己利益を求め、格差を深めるという堕落性が前提になっているからです。

では共産共栄共義主義は「神を中心とした社会主義」と原理講論に説明されていますが、どのように実践されるのでしょうか。共産主義は唯物思想を中心とした社会主義ですが、共生共栄共義主義は神を中心として人々が兄弟姉妹として生きる社会です。神様を中心とした人間は他のために犠牲になり、喜んで自然に与えます。そのため、神様を中心にする理想村では、政府の介入がなくとも、水が自然に平になるごとく、困った隣人がいれば周りが総動員されて平準化が起こります。自分のために生きる堕落性ではなく、人のために生きる本性を中心動機とするため、政府の介入がなくても、困った人がいれば周りの人々が自然に助けるという社会になります。生産や配分は他のために行うので、自己欲のために過度な生産をすることも、政府の福祉を頼りにして社会責任を怠ることもなくなります。

真のお父様が南米で実践された方法で、すべての貧困の人々を食べさせ、教育し、平準化する「理想村」が出来れば「共生共栄共義主義」という経済体制を実現した、と言えます。

統一家庭がこのような理想的な経済体制を追求するべきなのですが、世界もより平等な経済体制を求め変わろうとしています。

経済学者や政治家は堕落性は人間の本質で変えることができないという前提があるため、資本主義と社会主義を延々と抗論しあいますが、大部分の産業化が進んだ資本主義国家は、資本主義と社会主義を部分的に取り入れた体制をとっています。例えば、発展した国々の多くは、国家がある程度の健康保険制度を福祉として取り入れています。共産党に掌握されている中国でも、資本主義を積極的に取り入れました。一部の経済学者は、「倫理資本主義」を唱え、富裕層や企業は自ら進んで貧困を助けるようになり、倫理的な企業しか世間に認められなくなり、儲からなくなる時代が来ることを予見しています。少数の人々が大部分の富を蓄積する形の格差が世界で問題視され、企業倫理という概念も普通となってきました。

また、ウォーレン・バフェットやビル・ゲーツなどの大富豪たちが、彼らの大部分の富を飢餓や病気など世界の問題解決のために寄付する傾向が良く見られるようになりました。例えば、Giving Pledgeという団体では、富豪たちが50%から99%の富を寄付することを約束することを推奨し、すでにフェースブックの創始者マーク・ザッカーバーグなどを含める数百もの富豪は寄付を約束しています。コロナのパンデミックの影響で格差が浮き彫りになり、このような平準化に向けての意識はこれからさらに強く、高まっていくはずです。

真のお父様は、2002年からこのような富豪たちの寄付を提唱されておられました。

世界が一つになれば、自分たちだけが良い所でよく食べ、よく暮らすようにはなっていません。平準化されなければならないのです。そのためには、裕福な人は収入の七〇パーセント、そうでない人は三〇パーセントを税金として納め、バランスを取らなければなりません。そうすれば、不平を言う人は誰もいません。キリスト教は十分の一献金を集めて発展してきましたが、次は十分の三献金をしなければなりません。(真の父母経十篇一章 378-108, 2002/05/06)

原理講論の後編四章七節に、「人間は、このような理想をもって創造されたので、その理想を復帰し得る摂理歴史の終末期に至り、民主主義的な自由を獲得し、人間の本性を探し求めていくならば、結局、だれもがこのような社会主義的な生活体制を要求せざるを得ない」と書かれているように、人類は確実に平準化の道を歩んでいるようであり、統一家庭たちが最終的な理想社会を造成することを待ちわびているようです。

どこから投資は来るべきなのか

釣りから国際高速道路やトンネルなどの企画までに及ぶ、世界平和と統一のための平準化の摂理は、壮大な資金が必要だという事は誰もが想像できるはずです。発展途上国で釣りや農業を教えるなど比較的に簡単に始められるプロジェクトもあり、観光事業などボートなどの少なくない設備投資が必要になるプロジェクトもあります。理想村を建設するためにも、さらに大きい投資が必要であり、国際高速道路は国々が総力を挙げて取り組むほどの費用が必要だと想像できます。

さて、このような資金はどのように生むのでしょうか。教会のメンバー数を増やし、寄付を募るという伝統的な方法は時間がかかる方法かもしれません。多くの統一食口たちが、私産を売り払い摂理のために寄付をすることもありましたし、企業に勤め給料の一部を寄付として捧げてきました。真のお父様は、このような方法ですべての投資を賄うことを考えておられたのでしょうか。それとも、より継続性が有る方法を考えておられたのでしょうか。

実は真のお父様は二つの産業に多くの投資をされて来られました。第一の産業は水産事業であり、それはクリル漁業、レストラン、シーフード加工と販売、養殖業、ボート製造まで手掛けられました。米国では宣教をされながら、1970~1980年代に様々な水産事業を購入され、始められました。(写真:1994年、NY州にあったトンイル・ファーム)

国連の食糧農業機関(FAO)は、1980年から2010年までの世界で一人当たりが年間に食する魚類が約11キロから19キロまで増えたことを報告しており、Fior Marketsの市場調査では、魚類の産業は2019年から2026年まで年間成長率は平均約9%であり、2026年までに二千億ドル以上の産業に成長すると予見しています。

真のお父様が投資された二つ目の産業は、趣味観光産業でした。観光産業は、旅を含めると世界のGDPへの総貢献が10%を超える巨大産業です。真のお父様は、麗水などに大きく投資され、パンタナールやアラスカでも、観光産業を開拓しようとされました。

(写真:1991年にワシントン州シアトルをベーリング海峡に向けて出港する漁船オーシャン・ピース)

真のお父様は、平準化プロジェクトに投資するための資金を生み出すことができる水産と趣味観光の産業を築くことを思い描いておられました。 そして、真のお父様は事業の生み出す資金の目的をはっきりとされておられました。

お父様が事業をしてお金を稼ごうとするのは、そのお金を貧しい人々が豊かに暮らせるように使うためです。それで、経済的な基盤を中心として、お父様が築い た最高の科学技術を世界の万民解放のために分け与えるのです。それが平準化です。
先進国が弱小国を自国の下に引き入れようとするのですが、そのようにしてはいけないというのです。横に連れてきて、くっつけなければなりません。平 らに連結しなければならないというのです。このようにするので、先進国の人々は、お父様に対して「先進国を破壊しようとする者」という烙印を押して、反対 するのです。お父様は、世界の平準化を主張している人です。私がすべての国を対等な位置に立ててあげようというのです。(225-291, 1992/01/26 真の父母経十篇一章)

真のお父様のアメリカでの最後の摂理とも言えるラスベガス摂理では、罪のどん底にある都市を健全な趣味産業都市に変換しようされ、こう言われました:

ラスベガスは淫乱の王土です。これを消化しなければなりません。お父様は、ロサンゼルスとラスベガスがどのように悪いのかをよく知っている人です。賭博場 に行っても、親分にならなければなりません。淫乱の世界に行って、無知であれば、いつもだまされるのです。マフィアたちが望遠鏡をのぞいて、すべてのこと を調べていて、一つもだますことができない環境になっています。
それを消化し、そこから得られる収益の半分をカイン世界の息子、娘たちを教育する費用として使わなければならず、その次に、世界で毎年飢え死にする 二千万人を助けてあげることができる平和の基地に転換させなければなりません。そのようにしてこそ、この地上に神様のみ旨の基盤ができるのです。
皆さんに募金運動をさせるつもりです。国連で募金運動をするのです。大富豪たちからも募金してもらいます。韓国にはお金持ちがどれほどいて、平均的な財産 がいくらかを評価し、寄付金として捧げてもらうようにするのです。そのようにして、これからその半分は貧しい生活をするカイン世界の息子、娘たちを勉強さ せるために使わなければならず、残りの半分は避難民のように食べられずに死んでいく約二千万人を助けるために使わなければなりません。 (真の父母経十篇二章)

このように、真のお父様は常に飢餓と世界の貧困を解決されるための事業を考えておられました。

過去を見返した時、真のお父様が始められた多々の事業やプロジェクトは失敗したか、あるいは最初の構想と比べれば微々たる形で継続しているものが多いのが現状です。しかし、真の御父母様は原理を教え血統を転換する宗教的メシアとしてのみ来られたのではなく、世界的社会問題に対し、実践的で具体的な解決策を提示された方々だったという理解が重要です。

真の御父母様は霊的と肉的の両方の救済をされるために来られたと言うことです。

南北米統一摂理の性質

南北米統一摂理の性質の一つは、第二次四十年路程の第四次アダム圏、つまり祝福家庭中心の摂理だということが言えます。真の御父母様が成されるのではなく、統一家庭が中心となって、横的に成し遂げなくてはいけない摂理です。1995年3月31日に、サンパウロで以下の宣言をされました。

第二次四十年路程の出発は、第三十六回「真の父母の日」である一九九五年三月三十一日であり、(これは)二世中心の、また祝福家庭ごとに成就すべき、私たちの責任分担期間である。真の父母様が縦的、横的に勝利された基台を相続する私たちの責任分担は、天宙復帰までではなく、氏族メシヤの使命を完遂した家庭が心を合わせて一体となり、国家を復帰するところまでである。(真の父母経十篇三章二節)
南米摂理は、神様が立てられたアベル圏の勝利と祝福をカイン圏にまで移し、広げる摂理である。アベルの位置にある北米のプロテスタント圏の基盤を南米のカトリック圏に移し、一つにする摂理である。その次に、その一つになったアベル圏の勝利をユダヤ教圏に連結して一つにし、さらに、一つになった広いアベル圏の勝利をイスラム圏に連結させて大きくし、その大きく広がったアベル圏の勝利と祝福を他の宗教圏にまで連結させるのが、未来の摂理の方向である。北米をはじめとする世界の統一教会は、精誠を尽くして南米を支援しなければならない。(真の父母経十篇三章二節)

南北米統一摂理は「世界統一の摂理」であり、その統一の作業は祝福家庭が第四次アダム圏として成し遂げるべき、御父母様の勝利圏を、祝福家庭が横的に拡大する摂理である、と結論付けることができます。

今まで、先生の生涯における一次の四十年の生活は、北半球にある先進国家を中心とした、すなわち陸地を中心とした受難時代でした。それで、二十年前から南米における海洋文明圏を準備してきたのです。熱帯地方圏内にあるすべての国を救うために海洋時代を築いてきたのです。そこで受難の道を経てきたのが先生の二十年路程です。(環太平洋摂理 一章一節)

また、この第二次四十年路程は、海洋時代であり、海洋文明圏で熱帯地方圏内にあるすべての国を救うための路程です。

統一家庭は統一家庭として統一と平和を完結させなくてはいけない

「南北米統一摂理」のような、論理的で歴史的一貫性を持った世界の平和と統一の実現のための計画を作った人間は、真のお父様以外に人類歴史にいたでしょうか。再臨の主である真のお父様しかおられません。

真のお父様は、世界の統一の方案を幾度も語ってくださり、訓練され、実例を見せ、その精神も私たち統一家庭たちに教えてくださいました。

本来であれば、キリスト教徒たちがキリスト教徒らしく、イエス・キリストのみ言葉を実践していれば、無神論も共産主義もこのように拡大しなかったはずです。

同じように、もし、統一家庭たちが統一家庭らしく再臨の主のあからさまなみ言葉に従う、ということをせずに歴史の宗教と同じように自家撞着を続けるならば、すべての宗教は信頼を失い続け、若者たちは宗教を人間社会に有害と位置づけ無神論に惹かれ、トランスジェンダーや共産主義など無神論に基づく主義思想は世界に拡大を続けるのではないでしょうか。

世界平和、世界統一という大業は、どんなに待ったとしても、バイデンやトランプなどの政治家はやってくれません。彼らが自国主義を超えることはありません。世界の統一と平和を第二次四十年路程で、真の御父母様の血統、心情と方案を受け継いだ祝福家庭たちが成し遂げなくてはいけません。それ以外の道はないはずです。真の御父母様と真の御家庭の犠牲の上でいただいた私たちの命をどう使っていくのか、決めなくてはいけません。

「受けたので、完全に、絶対的に与えなければなりません」

真のお父様の実例に従うことは、私たちにとって難しいことです。しかし、この道の先にしか、未来はありません。この道を通らないと、全てが無に帰します。時間が経てば経つほど、後世の者たちが負債を背負い、私たちは讒訴されます。

統一家庭たちの多くは「もう犠牲になりたくない」「もう十分に苦労した」と疲れてしまっているかもしれません。しかし、それでも、真のお父様は御自分と御家庭を完全に犠牲にされ、絶対に与えるという実例を人生を通して示してくださり、私たちにも同じ基準で犠牲になり、与えることを望まれておられます。

天宙のすべての復帰の中心的使命がエバ国家にあります。このパンタナールの地で、誰が汗を流し、苦労しなければならないのでしょうか。日本は海水に囲まれています。塩水に囲まれているのです。水というのは、もともと海水でした。それが蒸発して循環運動をし、淡水によって山川草木(さんせんそうもく)が育まれているのです。
それと同じように、ここで精誠を尽くし、雲をつくって世界に新しい水を分け与えることが皆さんの仕事です。苦労するのは、自分たちが豊かに暮らすためではありません。未来の幸福の基地を造るためです。犠牲にならなければ、未来の幸福の基地は永遠に造れません。皆さんはお父様以上に苦労して、パンタナールにおいて世界の母のような立場で、世界にお乳を分け与えなさいというのです。(真の父母経 十篇三章五節)
ジャルジン宣言は、第二次四十年路程で守るべき絶対信仰、絶対愛、絶対服従について発表したものです。エデンの復帰です。エデンに帰ってきたというのです。エデンに帰って、神様の絶対信仰、絶対愛、絶対服従の相対平衡基準に立たなければなりません。そのためには、私たち自身もすべての万物を中心として、絶対信仰、絶対愛、絶対服従をする自らにならなければなりません。神様に似ることができるように、与えなければなりません。受けたので、完全に、絶対的に与えなければなりません。絶対的に犠牲になり、与えることができてこそ、この運動が広がるのです。愛は授受作用を続けます。それで、ジャルジンで「絶対信仰、絶対愛、絶対服従」の宣布をしたのです。それにより、堕落していない万物全体、絶対信仰、絶対愛、絶対服従の上に造られたこの世界をすべて管理するこ とができ、同一圏において接触することができるのです。(真の父母経 十篇三章二節)

客観的に考えると、私たち統一家庭たちは、血統転換、祝福、先祖解怨と祝福(430代の全ての罪の恩赦)という計り知れない、どんな量のお金でも換算できないほど恩恵を受けています。私たちは神様と真の御父母様に「完全に、絶対的に」受けたので、私たちも「完全に、絶対的に与えなくてはいけません」。

それでこそ、愛の授受作用が続き、この世界の統一の運動が広がります。これ以外、道はなく、そうしなくては、「未来の幸福の基地(地上天国)は永遠に造れません」。

今こそ、祝福家庭たちが真の御父母様を中心に世界平和と統一を成し、最終的な神文明を築かなくてはなりません。

(写真:1970年後半にNY州のバリータウンのハドソン川で釣りをされる真の御父母様)

[南米摂理は海洋摂理と共に勉強するとより深く理解できるようになります。海洋摂理を勉強するためには、歴史ページと、「海洋訓練ってなぜ重要?」という記事を読むことを推奨します。]

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